あなたはすでに持っていますか?仮想通貨。
ビットコインを買ってみた人たちが増えてきていますが、皆さんの中でもまだまだ仮想通貨市場の様子を見ていたいと思っている方も多いはず。
筆者自身もブロックチェーン技術の革新性には惚れ込んでいますが、まだまだビットコインなど仮想通貨に対して懐疑心はぬぐい切れていません。
心配性の私が、仮想通貨に関して思っているリスクを4点ほど整理してみました。
「ボラティリティ」や「みなし業者」などの単語についても易しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
その前に、テレビや新聞では・・・
そもそもTVなどのニュース媒体を見ていると、「コインチェック NEM流出」や「中国仮想通貨での決済を合法的ではないの声明」など仮想通貨に関して必ずしも良いニュースばかりは並んでおらず、むしろネガティブな報道が多いのではないかと思います。
仮想通貨に若干興味を持っている方であれば、テレビや新聞などでそれ系の話題が上がると否応無く反応してしまうはずでしょう。
また周りで仮想通貨取引をして儲かった人がちらほら出始めると、なんとなく胡散臭く見えてしまうのもあります。
なぜ、我々は「仮想通貨」や「ブロックチェーン技術」がよく考えずに怪しく疑ってかかってしまうのでしょうか。
まず考えられる原因として、間違いなく1980年代に日本で起こった「土地バブル」によるバイアスがあげられます。
みんな覚えているトラウマ「土地バブル」
知っている方も多いでしょうが簡単に説明すると、1980年代の行き過ぎた金融緩和政策で、買った土地が必ず値上がりするという「土地神話」が作られたほど、土地そのものの価値が上昇した時代がありました。
時間を追うごとに膨れ上がる地価。熱狂に沸く国民に危機感を覚えた政府が「土地バブル」の修正を行う政策を打ち出したもの、失敗し盛大にバブルが弾けてしまったことがあったのです。
その事件があったせいか、実体がなさそうな「よくわからない」仮想通貨取引で起こっているある種の「バブル」に危機感や怪しさを覚えているのでしょう。
「印象論」という見えない罠
テレビなどの報道で仮想通貨を初めて知った人にとっては、「コインチェックのセキュリティ事件」でなぜか「ブロックチェーン技術そのもの」が怪しく見えてしまった人も多いと思います。
「先入観」や「バイアス」がかかっているときは一番気をつけておかなければいけません。
なぜなら、これらは全て一般大衆がなんとなく考えてしまう「印象論」だからです。
「印象」はグッとこらえよう
もちろん「印象論」が正しいことはあります。しかしマスコミなどが加工した情報で、仮想通貨を怪しく思ってしまっているのであれば、もったいないと言わざるを得ません。
ですので、取引所が公式に発表する一次情報や分かりやすいブロックチェーン技術の記事を読むなどして、自分の頭でそれが怪しいのかどうか判断したほうが長い目で考えても得策と言えるでしょう。
ボラティリティが高い
「先入観」の話はさておき、仮想通貨そのものが持っている危険性について解説していきます。
まずビットコインを筆頭に、仮想通貨全般は「ボラティリティ」が高いと言えます。
「ボラティリティ」とは金融工学の専門用語で、簡単にいうと「とある資産の価格の変動性の激しさを表す指標」です。
もっと噛み砕くと、「ボラティリティが高い」=「価格がめっちゃ上がったり下がったりする」ということ。
誰でも自分の持っている資産が乱高下したら、気が気でないはず。筆者自身も自分の全資産の価値が毎日乱高下していたら夜も眠れません。
一夜にして、価値が0!?
また乱高下だけでなく、仮想通貨は一夜にして価値がほぼゼロになったりすることも考えられます。
皆さんは大昔オランダで起こった「チューリップバブル」をご存知でしょうか。
チューリップの球根に法外的な価値がつけられたのち、ものの見事に大暴落した世界最古の金融バブルです。
モン=サン=ミッシェルばりのチャートを描いたこのバブルは、ビットコインなど仮想通貨市場とよく対比されて表現されます。明日にはこうなるのではないか、と。
仮想通貨の中でも様々な種類があることはご存知の方も多いはず。
ビットコイン以外の主要ではないコインを「草コイン」などと呼びますが、この草コインの「ボラティリティ」が尋常ではないほど高いということも知っておくべきです。
具体的に、ビットコインは1日多く見積もっても20%の幅で暴落ですが、草コインは価値が1日で半額以下になる可能性が普通にあり得ます。
仮想通貨取引をするときの恐怖心に打ち勝つ方法
この「ボラティリティの悪魔」とも呼べるような金融商品に対して、恐怖心を抱くのはもちろん仕方がないことです。解決策はないのでしょうか。
- ボラティリティの高さを「割り切る」
- 「リスクとして許容できる範囲での取引」をする
- 取引をせず「傍観」しておく
①はもはや仮想通貨は価値が激しく変動するものと自分の中で割り切ってしまうもの。並大抵ではありませんね。
②は比較的現実に即しています。人によって許容できるリスクの幅にばらつきがあるのはご存知でしょうか。
生活資金という防衛ラインを守りながらも、自分だったら総資産の何割ほど平常心を守りつつ「攻めの投資」ができるのか考えてみるとよいでしょう。
また第三の案として「傍観する」という手も考えられます。
これは、取引をせずチャートを指を加えて見るという手段です。情報だけ追っていてもだんだん自分で取引したくなってしまうのが人間の性なので、早めに口座開設などしておくのがいいかもしれません。
取引所のハッキングリスク
仮想通貨取引をしようと思っている人の中で「コインチェックのNEM流出事件」を知らない人はいないのではないでしょうか。
「取引所のハッキングリスク」は考えられる最大級のリスクかもしれません。
特にこれは仮想通貨の欠点ではなく、取引をする場である取引所のセキュリティの問題です。
コインチェックのNEM流出も、取引所のセキュリティの甘さからハッキング事件が起きたと考えるのが妥当でしょう。
何事も「分散」がキモ
このハッキングリスクの対策法としては、複数の仮想通貨取引所に登録して、リスクを分散させる手が一番有効であると言われています。
一つの取引所しか登録していないと、大きなハッキング事件が起こった際に、取引のために預けていた資産が全部引き出せなくなる可能性が高いです。
コインチェックの事件時に引き出せなくなって泣き叫んでいた人たちを思い出してください。リスクは分散すべきです。
国の規制が未知数
このように取引所のセキュリティなどの「能力」が問題の中心にあるため、国も公正で安全な仮想通貨取引ができるように、国内の取引所に対して様々な規制を加え始めています。
直近で例を挙げると、金融庁による「みなし業者」への立ち入り検査が始まるとの発表がありました。
「みなし業者」とは、未だ仮想通貨交換業の登録を受けずに営業している会社のことで、全て数えると15社前後あるようです。
つい先日、ずさんな「みなし業者」の数社に対して行政処分や業務停止命令が下ったばかり。
2018年になって行政機関による介入が多く見られるようになりましたが、ここでのリスクとして考えられるのは、国がどこまで規制してしまうかわからない、ということです。
海外でも取引所の閉鎖を迫る国がちらほら出てきており、特に韓国や中国が顕著です。
ただここで押さえてほしい視点としては、国家は仮想通貨の取引がテロやマネーロンダリングに使われてしまう可能性を阻止しようともしている点です。
安全に仮想通貨取引ができるような法律制定までしっかりと情報を追うべきであるといえます。
ICOの詐欺リスク
仮想通貨といえばICOのリスクも気になるはず。
ICOとは「Initial Coin Offering」の略で、ざっくり言ってしまうと企業などが新規通貨を発行する際にする資金調達の一種です。
既存のIPO(株式公開)や、見返りのあるクラウドファンディングをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。
通貨自体の性能やプロジェクトに価値があると、その通貨を売却した際に莫大な利益を出すことができますが、大きなお金が動くことから巧妙な詐欺が後を絶ちません。
中には芸能人を起用して宣伝をしている悪質なICOまであります。
グローバルな対応がすすめられている
現在ICOに関しては国単位で規制の話が進められていて、2018年3月に行われたG20では、国際的に統一のルールを設け安定的に発展をサポートしていく方向性の声明が発表されたとのこと。
まだ具体的な規制の内容が決まったわけではなく、ルール制定まで時間が少しかかるので特に注意が必要であるといえます。
どうしてもICOに参加したいという方は、目の前に提示される莫大な利益に目をくらませずに、そのICOは信用に値するのか、期待できるのかを自分の頭で判断して参加するのが鉄則と言えるでしょう。
まとめ: 正しい認識でリスクの低い取引を!
現段階で考えられる仮想通貨のリスクを集めてみましたが、いかがでしたでしょうか。
以下要点を箇条書きでまとめました。
→ 取引をするのであれば、自分が許容できるリスクを知っておく
・「取引所のハッキングリスク」
→ 複数の取引所に登録して、リスクを分散
・「国の規制が未知数」
→ 法律制定の最新情報を追うことでリスクを回避
・「ICOの詐欺リスク」
→ 莫大な利益に目をくらませず、期待できるICOに参加しよう