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日本初・株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」はベンチャー業界をどう変えるのか?

皆さんこんにちは。

皆さんは、「株式投資型クラウドファンディング」を知っていますか?

株式投資型クラウドファンディングとは、一般投資家が、インターネットを通じてベンチャー企業へ投資ができる仕組みです。(投資家には反社チェック等の審査があります)

従来、日本において、非上場企業がインターネット上で投資家を募集することは規制されており、個人がベンチャー企業へ投資する機会は限られていました。

しかし、2015年に金融商品取引法が改正されたことにより、株式投資型クラウドファンディングを運営できる環境が整備されました。

株式投資型クラウドファンディングは、ベンチャー企業やスタートアップをより多くの投資家と繋げる仕組みとして、今後の発展が期待されています。

そこで今回は、日本初の株式投資型クラウドファンディングの『FUNDINNO』を運営する日本クラウドキャピタルのCOO大浦学さんに、今後の株式投資型クラウドファンディングの展望について語って頂きました。

株式会社日本クラウドキャピタル代表取締役COO 大浦学氏

プロフィール
株式会社日本クラウドキャピタル代表取締役COO 大浦学氏
2011年 明治大学商学部卒業。2013年明治大学大学院グローバルビジネス研究科修了。大学院での研究テーマは「マーケティング」。
同研究科で後の株式会社日本クラウドキャピタル代表取締役CEO柴原氏と出会い、同氏とともに、システム開発・経営コンサルティング会社を起業。2014年1月、神奈川県箱根町の支援を受け、地域活性を目的とした一般社団法人はこねのもりコンソーシアムジャパンの理事に就任する。
その後、ベンチャー企業の育成に貢献したいという強い思いにより、2015年株式会社日本クラウドキャピタルを柴原氏と設立。代表取締役COOに就任。FUNDINNOの事業責任者としてサービスの拡充や改善などを牽引する。

-始めにFUNDINNOについて簡単に紹介して頂けますか?

私たちは、国内初の第一種少額電子募集取引業者として、「誰もがフェアに挑戦できる未来を創る」というビジョンの下に、FUNDINNOという株式投資型クラウドファンディングサービスを提供しています。

FUNDINNOは、非上場企業を応援したい投資家と、資金調達をしたい非上場企業のマッチングのプラットフォームであり、現在、約2万5000人の投資家の方に利用して頂いており、これまでの累計成約額は約30億円に上ります。(2020年4月末現在)

何か新しい挑戦をする時に、資金面がボトルネックとなるということは往々にしてありますが、ITが発達した今日においても、金融の世界は未だににクローズドな面があります。

そのため、私達は、インターネットを使ったオープンで新しい金融というテーマで、インターネット上で簡単に投資ができる仕組みを作っています。

-オープンで新しい金融とは具体的にどのような事を指しますか?

これまで、スタートアップやベンチャー企業に対して投資が行われる際には、ごく少人数の担当者や委員会によって判断されることが一般的であり、その事業が本当に市場に受け入れられるかどうかといったことまでを判断するのは難しいものでした。

そのため私たちは、株式投資型クラウドファンディングという仕組みを用いて、インターネット上で、より多くの投資家の方に、その新規事業を判断してもらうことで、市場により近い、インターネット上での集合知を得ることを意識してサービスを設計しています。

-FUNDINNOが生まれた背景にはどのような課題意識がありましたか?

私達は、日本において、スタートアップやベンチャー企業への出資額を増やさなければならないという課題意識を持っていました。

現在、世界時価総額ランキングのトップ50に入っている日本企業は、トヨタ1社しかありませんが、30年前は、3割以上が日本企業でした。その間に、アメリカからはGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が生まれ、中国ではBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)といったグローバル企業が数多く生まれましたが、日本からはそれらに対抗し得るグローバル企業は1社も出てきていません。

その要因は数多くあると思いますが、そのひとつにスタートアップやベンチャー企業への出資額の違いが挙げられます。

インターネットが発達した現代においては、同じようなビジネスモデルのスタートアップが同時多発的に生まれます。しかし、同じビジネスモデルでも、シリコンバレーで生まれると数億円が集まり、日本で生まれると数百万円しか集まらないといった状況では、成長速度も全く違ってきます。

日本では、昨年の年間ベンチャー出資総額は4400億円程度でしたが、かたやアメリカや中国では、年間10兆円規模でベンチャーへの投資が行われているのです。

-株式投資型クラウドファンディングのFUNDINNOはどのようにしてベンチャー企業への出資額を増やしていくのでしょうか?

一般的に、家計からスタートアップやベンチャー企業のような非上場企業へお金が流れる時は、以下の図のような流れを辿ります。家計のお金は、銀行や投資信託を通じて上場企業や、VC、PEに流れ、その一部が非上場企業に流れます。

FUNDINNOでは、株式投資型クラウドファンディングを通じて、資金調達のチャネルを多様化させると共に、よりダイレクトに家計から非上場企業にお金を流す事で、非上場企業へのお金の流れを増やしていく仕組みを作っています。

また、家計から非上場企業に流れたお金は、再び家計に流れるように流動性を高める必要があります。

と言うのも、スタートアップやベンチャー企業がIPOに要する期間は平均11年と言われており、現状では、非上場企業の株式の売買は活発でないため流動性が不足しているのです。

エンジェル投資家からすると、IPO以外に換金の機会がほとんどなく、それまでの間、塩漬けの状態で待たなければなりませんでした。非上場企業の株式の流動性の低さがエンジェル投資へのハードルとなっていたのです。

そのため私達は、非上場企業の売買市場を創出し、非上場企業の株式の流動性を高めることも重要視しています。

-どのようにして非上場企業の売買市場を創出していくのでしょうか?

未上場企業の相対市場を活性化するために、ブロックチェーンの技術が有用だと考えています。

非上場企業における株主管理は、未だに株主名簿を作って社印を押すといった世界であり、株の移転なども紙ベースで行われているため、株式の移転が頻繁に行われることはありませんでした。

ブロックチェーンの技術を活用して株主名簿の管理をすることで、株式の移転を正確にトラッキングして、透明性と信頼性を担保することが可能になるので、非上場企業の売買市場の活性化につながることが期待されています。

このようにして、エンジェル投資へのハードルを下げ、スタートアップの市場全体を活性化していくことを私達は目指しています。

また、私達は、『金融関連分野におけるブロックチェーン技術実務適応研究会』という研究会の発足メンバーでもあります。

この研究会では、金融関連5社・金融関連分野に携わる大学有識者・法律家を招いて、ブロックチェーンのユースケースを中心に議論しており、私達は、株主名簿以外にも、ブロックチェーン技術を活用した投資家へのインセンティブ設計や未上場株の設計なども研究しています。

-実際に利用した起業家や投資家からの反響はどのようなものでしたか?

まず、起業家サイドですが、一般的に起業家にとって、見込みとなるエンジェル投資家を見つけて、コンタクトをとり、ピッチをするという工程には多大な労力と時間を要するものでした。FUNDINNOのプラットフォームを使えば、2万5000人のエンジェル投資家の方にアプローチできることや、それに伴うマーケティング効果が見込めるという点で起業家の方に評価して頂いています。

また、私達は、資金調達をするために必要な書類をネット上で簡単に作成できるFUNDOOR(ファンドア)というプロダクトを無料で公開しており、これも好評を頂いております。

一方、投資家の方々からは、自分の共感する事業を応援することで、ある種の創業体験のようなものが得られるといった声を頂いております。

そのため、FUNDINNOを利用する投資家の方々は、その事業の将来性に加えて、その事業の設定する社会的な課題に共感出来るかどうかといったことも重視する印象があります。実際にFUNDINNOでは、将来性と共感性の併せ持つプロジェクトがより多くの資金を調達できているという傾向があります。

また、投資家の方々に好評なのがエンジェル税制です。エンジェル税制とは、投資をしているとその分所得控除が受けられる仕組みであり、経産省と中小企業庁が推進しているのですが、申請の手続きが煩雑で中々普及していませんでした。

そこで、私達が、エンジェル税制の申請に必要な書類をインターネット上でダウンロードできる仕組みを作ったところ、日本全国のエンジェル税制の申請数の68%がFUNDINNOを通じて行われるようになりました。今後、この手続きをより簡潔にするために、現在、私達は、エンジェル税制の認定機関としての申請も行っています。

-これまでファンディーノではどのようなプロジェクトが生まれてきたのですか?

スタートアップはハイリスクであり、倒産した事例もありますが、私達の予想以上に株価が伸びた会社や、既に一部イグジットできた会社もあります。

例えば、過去最高額の8,930万円を調達した、手術トレーニング用模擬臓器の製造・販売を手掛けるKOTOBUKI medical社は、もともと自動機製作や金型などを制作する町工場でした。

代表の高山成一郎さんがこんにゃくを原料とした安価な模擬臓器を作る事に成功して、若手医師や研修医向けに提供を始めたところ、従来、手術トレーニング用の模擬臓器は非常に高額だったという社会的な課題とマッチして、多くの投資家の方からの支持を集めることとなりました。

また、AI技術を使った広告収入モデルによって乗車料金を無料にする「0円タクシー」のnommoc社は、数分で5000万円を調達しました。後に各メディアでも話題になり、投資家の一部はすでにイグジットしています。

最後に読者の方へ一言メッセージをお願いします。

FUNDINNOは、これまで多くの投資家の方々に支えられてきましたが、登録して頂いている投資家の数は凡そ2万5000人であり、まだまだこれからだと考えています。個人的には、日本人の10人に1人くらいは中小企業の株式を持っていても良いのでないかと考えています。今後もスタートアップやベンチャー企業の株式の流動性を上げて、より多くの方々が気軽にスタートアップに投資できる環境を作っていきたいと考えています。

FUNDINNO

https://fundinno.com/