2019年9月16日、現行の『NIS1:NEM v.1』から、次期バージョン『カタパルト(Catapult:NEM v.2)』への移行方法がNEM.io財団より発表されました。
いよいよNEM(ネム)が大きく変わる瞬間が近づいてきました。
当初、「カタパルト」は2018年中には実装される予定でしたので、なかなか実装されずヤキモキしていたNember(=NEMファン)も多いことと思います。
具体的な移行スケジュールは後日発表予定となっていますが、1年以上の期間を経て2019年中の実装が現実味を帯びてきました。
NEM(ネム)ってそもそも何なの?
NEM(ネム)はビットコインと何が違うの?
NEM(ネム)のカタパルトってよく聞くけど結局何なの?
カタパルトが実装されればNEM(ネム)はどう変わるの?
この記事では、NEM(ネム)のカタパルトについてしっかり理解するために、「そもそもNEM(ネム)とはどのような仮想通貨なのか?」「ビットコインとの違いとは?」といった基本的な知識から詳しく解説しています。
もちろん、いま話題になっている「カタパルト」についても分かりやすく解説し、NEM(ネム)の今後はどうなるのか?について考えていきたいと思います。
目次
2019年いよいよネムもカタパルトは実施されるのか?
NEM財団が2019年3月29日に発表した「カタパルトに関するロードマップ」によると、カタパルトのメインネットでの公開は「2019年Q3後半~Q4初期」となっています。
参考 NEM Foundation Catapult Roadmap and VisionNEM Forum先述したように2019年9月16日に「カタパルトへの移行方法」について公表され、カタパルト移行への具体的なスケジュールも後日発表予定としています。
今のところロードマップ通り、順調に進んでいるようなので、2019年中にカタパルトが開始するのは、ほぼ間違いないでしょう。
NEM(ネム)ってどんな通貨?
NEMのカタパルトについてきちんと理解するために、まずは『NEM(ネム)とはどのような仮想通貨なのか?』について復習しておきましょう。
NEM(ネム)の基本情報
NEM(ネム)とは、正確に言うと仮想通貨のことではなく、ブロックチェーンを活用して新しい経済圏を作ることを目標としたプロジェクト名のことです。
このプロジェクト名『New Economy Movement(直訳:新しい経済運動)』の頭文字を取って『NEM(ネム)』と呼びます。
国や銀行など既存の組織の仕組みから離れ、金銭的な自由・平等・連帯感を持つ『コミュニティ志向で平等な分散型プラットフォーム』を構築することを目標としています。
この分散型プラットフォーム上で発行されている仮想通貨が「XEM(ゼム)」です。
一般的には、NEM(ネム)と言えば、「プロジェクト名としてのNEM」「分散型プラットフォームとしてのNEM」「仮想通貨XEMのこと」などを指しています。
名称 | NEM(ネム) |
---|---|
誕生 | 2015/3 |
管理 | NEM財団 |
通貨単位 | XEM |
発行枚数 | 9,000,000,000XEM(すべて発行済み) |
公式サイト | https://nem.io/ |
時価総額 | \39,314,688,424 第26位(2019/9/26現在) |
NEMはビットコインのフォーラム「bitcointalk.org」において、「UtopianFuture」と名乗るチームによって、その形が示されました。
「UtopianFuture」について分かっていることはなく、謎に包まれていますが、画期的なNEMのシステムは多くの開発者の興味を惹き、プロジェクトは進行しました。
NEMはjava言語を用いて開発され、2015年3月31日に公開されました。
NEMには、現在、ビットコインが直面している問題点を先読みしたような特徴があり、多くのユーザーの関心を集めることとなりました。
NEM(ネム)の特徴
資本主義社会においては、お金持ちが自分達に有利なルールを作るため、富裕層はさらに富み、貧乏な人はなかなか貧困から脱することができないという問題点があります。
NEMはそのような不平等な社会を脱し、平等な富の再分配ができる仕組みを備えています。
NEMの持つそのような仕組みは主に以下の2点によって支えられています。
- Pol(プルーフ オブ インポータンス)
- ハーベスティング
それでは、順番に確認していきましょう。
Pol(プルーフオブインポータンス)ってなに?
「PoI」とは「Proof of Importance」の略で、NEMが採用している「コンセンサスアルゴリズム」の名称です。
ブロックチェーンでは、送金や決済など取引の記録を「ブロック」という塊にまとめて、既存のブロックにつないでいきます。
ブロックチェーンには、その仮想通貨の最初の取引から現在まで、すべての取引履歴がつながっています。
その姿が「鎖」をイメージすることから「ブロックチェーン」と呼ばれています。
ブロックチェーンのイメージ図
ブロックチェーンに新しいブロックをつなぐ際には、その取引は正しいものか、重複はしていないか等のチェックをする必要があります。
一般的に、このチェック作業を「マイニング」と言い、マイニングする人を「マイナー」と言います。
マイニングを実施したマイナーには報酬が支払われるため、多くのマイナーが自身がマイニングをするためにしのぎを削っています。
この「誰がマイニングをするか?」ということを選出する方法を「コンセンサスアルゴリズム」と言います。
コンセンサスアルゴリズムには、NEMが採用している「PoI」以外にも色々な種類があります。
Polを理解するために、まずはもっとも主要なコンセンサスアルゴリズムである「PoW(プルーフオブワーク)」を理解する必要があります。
PoW(プルーフオブワーク)とは
PoW(Proof of Work)とは、ビットコインやライトコイン、イーサリアムなど多くの仮想通貨に使用されている最もメジャーなコンセンサスアルゴリズムです。
「PoW」は、膨大の量の計算処理をコンピューターで行い、もっとも早く解答を出したマイナーがマイニングを行うことができるという力業みたいな方法です。
「PoW」のメリットは不正に強いという点です。
「PoW」では膨大な計算を他者よりも早く処理しなければいけませんので、処理能力の高いコンピューターを大量に用意する必要があります。
しかしマイニングをすることでもらえる報酬額は一定のため、あまりにもコストをかけすぎると赤字になります。
おのずと各マイナーがかけられるコストは収れんしていくため、一部のマイナーによるブロックチェーンの私物化を防ぐことができます。
もちろん「PoW」にもデメリットがあります。
- 高額な電気代
- 51%攻撃の可能性
高額な電気代
「PoW」では計算能力の高いコンピューターを大量にフル稼働する必要があります。
そのため高額の電気代が必要になります。
2019年9月現在、ビットコインのマイニングによって消費されている電力量は年間73.1TWh(テラワットアワー)となっています。
※上記サイトでの数値はさすがに誇張しすぎではないか?という指摘もあります。
年間73.1TWh(テラワットアワー)と言われても、あまりピンとこないと思いますので、世界各国の消費電力の一覧表を掲載しておきます。
参考)世界の電力消費量 | 電力消費量 | Enerdata
国名 | 年間消費電力(TWh) |
---|---|
中国 | 6,167 |
アメリカ合衆国 | 3,971 |
インド | 1,243 |
日本 | 1,020 |
ロシア | 929 |
韓国 | 563 |
カナダ | 529 |
ドイツ | 529 |
ブラジル | 524 |
フランス | 441 |
イギリス | 307 |
イタリア | 303 |
~~~~~~~~~~~中略~~~~~~~~~~~ | |
カザフスタン | 81 |
チリ | 72 |
コロンビア | 69 |
アルジェリア | 66 |
ベネズエラ | 63 |
チェコ共和国 | 59 |
クウェート | 59 |
ウズベキスタン | 54 |
ルーマニア | 50 |
ポルトガル | 49 |
ニュージーランド | 39 |
ナイジェリア | 28 |
この表によると、ビットコインの年間消費電力はチリとコロンビアの間くらいになりますね。
ビットコインのネットワークを維持するための電力が、ひとつの国家全体の電力消費量を上回るわけです。
参考 ビットコインの環境負荷は「不都合な真実」かYahoo!ニュース51%攻撃の可能性
「PoW」では、高額な電気代に加え、「51%攻撃」と呼ばれる不正取引が行われる可能性が指摘されています。
「PoW」ではひとつのコンピューターだけに承認作業を委ねているわけではなく、多数のコンピューターに委ねています。
それらのコンピューターの51%以上の承認を得れば、その取引は正当なものであると承認される多数決のシステムとなっています。
つまり51%以上のマイナーが結託して、不正な取引であっても正しい取引であると承認してしまえば、ブロックチェーンが改ざんされてしまいます。
2013年12月には、Ghash.ioというマイニングプールの処理能力が50%に迫り、51%問題が当時大きな話題となりビットコインの価格が下がるという出来事もありました。
参考 Ghash.io-51% attack controversyWikipedia基本的には51%攻撃を行うためのコストに見合うマイニング報酬を得られないため、そこまで心配する必要はないという指摘もあります。
ですが、51%を防ぐ有効な手立てがないのも現実で、「PoW」の大きな課題のひとつと言われています。
PoS(プルーフオブステーク)とは
PoS(プルーフオブステーク)は、大量のコンピューターと電気代など資本力に左右される「PoW」の問題点を解決するために考案されたコンセンサスアルゴリズムの一種です。
PoS(Proof of Stake)を簡単に言うと、コインの保有量や保有期間によってマイナーを選ぶ方式です。
Stake(ステーク)という言葉には『掛け金』という意味があり、その『仮想通貨にいくらの掛け金を支払っているか』、つまり『どれぐらいその仮想通貨を保有しているか』ということが重要となっています。
これにより「PoW」の問題点として指摘されていた「大量の電気代」「高価なマシン」などの問題が解決されました。
特定の団体が連続でマイニング権利を獲得することのない仕組みも導入されており、PoWよりも不特定多数がマイニングに参加しやすい仕組みとなっています。
とはいっても、どうしてもコインの保有量が重要にはなってしまうので、資本の大きさによって左右される面は「PoS」でも完全に払拭できてはいません。
さらに「コインの保有量や期間」が重視されるため、コインが市場で出回りづらく、コインの流通量上昇を妨げるという問題点も出てきました。
「PoW」と「PoS」の問題点
出典:steemkr.com
「PoW」の場合は、マイニングを行うコンピュータの性能が重要となります。
一方のPoSは、対象コインを多く保有している方が利益を得られる仕組みです。
いずれの仕組みも、『富の再分配』という面では課題が残る形となりました。
これらの課題を解決する仕組みとして、NEMのPoI(Proof of Importance:プルーフオブインポータンス)が開発されました。
PoI(プルーフオブインポータンス)の仕組み
「PoI」では、次の要素により参加者の重要度が決定します。
- コイン保有量
- 取引の頻度
NEM(ネム)が採用している「PoI」は、持っているコインの量だけではなく、NEMネットワークを積極的に使う人が報酬を得られる仕組みとなっています。
『コインの流動性をどれくらい高めてくれたか』が重要な指標となるわけです。
これにより、「PoW」や「PoS」のように資本力が大きい者がより有利になるのではなく、NEMのネットワークに貢献すれば誰でも平等に報酬を得ることができるようになりました。
ハーベスティング
ハーベスティングとは、ビットコインにおけるマイニングに当たるプロセスです。
しかし、ビットコインのように膨大な資金、電力は必要ではありません。
ハーベスティングを行うためには、次の2つの準備が必要となります。
- 10,000NEM以上の保有
- Nano Walletの準備
Nano Walletとは、NEMが公式にリリースしている仮想通貨ウォレットです。
通常の仮想通貨ウォレットとは違いXEM(ネム)にしか対応しておらず、『ハーベストを行う為のウォレット』という位置づけになります。
Nano Walletを使用したハーベストを『デリゲートハーベスティング(委任ハーベスティング』と呼びます。
ハーベストにはもうひとつ「ローカルハーベスト」というやり方もありますが、『デリゲートハーベスティング(委任ハーベスティング』よりも難易度が上がるため、多くの人はこの『デリゲートハーベスト(委任ハーベスト』を行っています。
カタパルトを理解する為に知っておきたいNEM(ネム)の仕組み
カタパルトの説明をする前に、カタパルトに関連の深いNEMの仕組み・技術について理解しておきましょう。
NEMの仕組み①スマートコントラクト
NEMにもイーサリアム同様、「スマートコントラクト」機能が搭載されています。
スマートコントラクトとは
スマートコントラクト(Smart Contract)は、日本語に直訳すると「賢い契約」となります。
契約を自動化することで、より、簡単に取引できる仕組みを作りたいという考えから実装されました。
あらゆる契約行動をプログラム化して、自動的に執行することができます。
スマートコントラクトを活用すれば、音楽をダウンロード購入したときに直接アーティストに代金や著作権料を支払ったり、メルカリやヤフオクのような仲介業者を挟まなくても、直接、知らない人同士で中古品の取引ができたりします。
「スマートコントラクト」は、様々な業界でお金の流れを劇的に変える技術として期待されています。
ネムの仕組み②モザイク
「モザイク(mosaic)」とは、イーサリアムで言う「ERC20トークン」のことです。
NEMのブロックチェーン上で誰でも簡単に独自トークンを発行することができ、そのトークンのことをNEMでは「モザイク」と呼びます。
NEMでモザイクを発行するには10XEMの費用が必要となります。
現在は、モザイクを発行するには後述する「ネームスペース」とセットで設定する必要があります。
カタパルトが実装されれば、「モザイク」発行の際に「ネームスペース」の利用が必須ではなくなり、「モザイク」のみでの利用ができるようになります。
NEMの仕組み③ネームスペース
「ネームスペース(name space)」とは、インターネットにおけるドメイン名のようなものです。
たとえば、Yahoo!のウェブサイトのドメイン名は「yahoo.co.jp」となっています。
しかし、元々、インターネット上でのアドレス(住所)は、IPアドレスという数字で管理されています。
Yahoo!のウェブサイトのIPアドレスは「182.22.59.229」です。(※変更される可能性もあります。)
試しにブラウザのアドレスバーに「182.22.59.229」と打ち込んでみても、Yahoo!のウェブサイトを表示することができます。
数字ではコンピューターは管理しやすくても、人間は覚えるのが難しいので「yahoo.co.jp」という分かりやすい名前をつけて裏で変換しているわけです。
NEMの「ネームスペース」もこれと同じ仕組みです。
NEMで発行されるトークン「モザイク」に「ネームスペース」を使って分かりやすい名前を付けることができます。
「ネームスペース」を登録するには100XEMの費用が発生し1年契約となっています。
「ネームスペース」の契約更新をしなければ、発行した「モザイク」も削除されます。
カタパルトのアップデートが完了すれば、「モザイク」の発行に「ネームスペース」の利用が必須ではなくなるので、「ネームスペース」の契約期間が終了しても「モザイク」は削除されなくなり、ランダムな英数字で識別されるようになります。
また「ネームスペース」の契約期間は1年契約のみでしたが、カタパルト実装後は利用者が自由に契約期間を決めることができるようになります。
NEM(ネム)のカタパルト(Catapult)とは
カタパルト(Catapult)とは、2019年中には実装されると言われているNEMの大型アップデートの名称です。
「Catapult」の意味は、古くは石や矢などを発射するための機構のことで、投石機や弩(いしゆみ)などどとも呼ばれます。
現代では、航空母艦などで飛行機を射出させるための機構がカタパルトと呼ばれます。
以上のような意味から、非常に大きなステップアップやステータス向上などが起きるときにも使う単語です。
NEMが大きく進化して成長するという意味が込められているのですね。
NEM(ネム)とmijin(ミジン)の提携について
2019年7月9日、「mijin」を提供するテックビューロHD株式会社と、NEM.io財団が業務提携を発表しました。
参考 テックビューロ ホールディングス、NEM.io財団との業務提携を発表PRTIMESこの提携により、テックビューロとしては、「mijin」の海外進出による販売促進・マーケティングをNEM財団を通じて行うことができ、NEM財団はカタパルト開発のための安定した収益基盤を得ることができます。
NEMのブロックチェーンを活用して構築されており、決済や送金、物流、人材管理など企業内で発生する様々な業務を効率するためのソリューションとなっています。
通常、ビットコインなどのブロックチェーンは誰でも参加できる「パブリックブロックチェーン」ですが、mijinでは承認されたノードしか参加できない「プライベートブロックチェーン」となっています。
アステリアや日立ソリューションズなど様々な企業が既にmijinを導入しています。
「mijin」のカタパルト
「mijin」には「mijin (v.1)」と「mijin Catapult (v.2)」の2つの製品があります。
「mijin」で利用されているNEMのプライベートブロックチェーンにおいて、「カタパルト(Catapult)」は既に導入されているのです。
「mijin」のカタパルトは、テックビューロとNEMのコアデベロッパーたちとともに一から開発され、仕様全体を一新、開発言語もjavaからC++へと移行しています。
カタパルトの特徴①トランザクション処理速度の向上
ビットコインやイーサリアムなど人気通貨が現在、直面している課題が「スケーラビリティ問題」です。
仮想通貨の処理速度を上回るトランザクションが発生することで、送金時間の遅延、送金手数料の高騰などが起こる問題です。
NEMのカタパルトでは処理速度が大幅に向上すると言われており、毎秒3,000~4,000件ほどのトランザクションを処理できるようになります。
- ビットコイン(BTC): 7件 / 秒
- イーサリアム(ETH): 15件 / 秒
- リップル(XRP):1,000件 / 秒
- ネム(NEM:カタパルト実装後):4,000件 / 秒
ビットコイン、イーサリアムを上回ることはもちろん、処理速度が非常に早いと言われているリップルよりも早くなります。
毎秒4,000件という処理速度はクレジットカードのVISAの処理速度に匹敵します。
NEMが世界の決済のシーンで使われるようになることを期待してしまう数値ですね。
カタパルトの特徴②マルチレベル・マルチシグネチャ(Muti-Level Multisignature)
カタパルトでは、今までの「マルチシグネチャ」よりもさらにセキュリティの高い「マルチレベル・マルチシグネチャ」を使うことができます。
「マルチシグネチャ」では、送金や決済などの承認作業の際、複数人の承認が必要となる仕様です。
「マルチレベル・マルチシグネチャ」では、この「マルチシグネチャ」を階層化することができます。
出典:mijin.io
最大3層までの階層を作り、指定した数の連署人が全員同意しないと実行できないようにすることができます。
カタパルトの特徴③アグリゲート・トランザクション(Aggregate Transactions)
「Aggregate」には、集める、まとめる等の意味があります。
アグリゲート・トランザクションとは、複数のトランザクションをひとつにまとめて処理することのできる機能です。
出典:mijin.io
たとえば、お店で買い物をするときに、「NEMで支払うとお店独自のポイントをトークンでもらえる。」とします。
このときアグリゲート・トランザクションがなければ、「NEMでの代金支払い」と「お店からお客さんへのポイント付与」を別々に処理しなければなりません。
こうなると手間がかかりますし、ポイントの付与忘れなどのミスが発生する可能性があります。
アグリゲート・トランザクションを使えば、「NEMでの代金支払いと同時にポイント付与する。」という処理を1回でまとめてすることができます。
アグリゲート・トランザクションはB2BでもB2Cでも様々なシーンでの活用が期待でき、非常に使い勝手の良い機能です。
カタパルトの実装はいつになるのか?実装時期について
2018年中にはNEMのパブリックブロックチェーンへのカタパルトへの実装は完了するのではないか?と言われていましたが、2019年9月現在、まだ実装はされていません。
しかし、着々と準備が進んでおり、2019年3月29日にはNEM財団により「カタパルトに関するロードマップ」が発表されました。
これによると2019年中にはNEMへのカタパルトの実装が完了しそうです。
2019年ネム財団の再編
NEM財団は2019年1月31日に大幅な組織再編を発表しました。
プロダクトに特化した組織に再編することで、低コストの体制に変化しています。
同日、コインデスクが「NEM財団が倒産する!」という記事を掲載し、翌日、NEM財団の代表Alex Tinsman(アレックス・ティンズマン)氏が反論するなど、NEM財団を巡り対象の混乱を見せました。
ただし、資金不足に陥っていたことは事実で、その後、2019年3月9日に2,500万XEM(約1億2,500万円相当)の資金調達を完了しています。
また先述しましたが、2019年7月にはテックビューロホールディングス株式会社と事業提携を発表し、カタパルトの開発資金などをテックビューロが拠出することになっています。
2019年のローンチプランについての発表
2019年3月29日に「NEM.io財団によるカタパルトのロードマップと展望(Googleドキュメント)」が発表されました。
カタパルトは当初2018年中での実装が予定されており、遅々として進まない状況にNEM財団に対する不信感も噴出していました。
ロードマップでは2019年後半のカタパルト実装が予定されています。
次の段落からカタパルトのロードマップについてもう少し詳しく見ていきましょう。
NEM(ネム)のカタパルトのロードマップ
NEM財団が発表した「NEM.io財団によるカタパルトのロードマップと展望(Googleドキュメント)」の中身を簡潔にまとめました。
カタパルトの公開は2019年9月~11月頃となっています。
カタパルトがローンチされることによりNEMには様々な機能が追加され、より実用的で汎用性のあるプラットフォームへと成長します。
ローンチ後も新機能の追加やアップデートが予定されており、NEMの将来は非常に明るいと言えるのではないでしょうか?
2019年Q2(4月~6月):Catapult事前テスト
- Javascript、Typescript、JavaのSDKがアップデートおよびPHP、Swift、Python、Unityのアルファ版を提供。
- Cowのテストネットを公開。テスト用ウォレット、フォーセット、チュートリアルの提供とDragonへのアップグレード。
- LedgerとTrezorの二つのハードウェアウォレットに対応。
- トランザクション、アカウント、ブロックチェーン上の履歴、ノード情報やネットワークアクティビティを誰でも簡単に調べられる。
2019年Q3(7月~9月):カタパルトテストネット公開
- 使いやすさにこだわったモバイルウォレットのモザイク送受信
- デスクトップ版ウォレットでは、マルチシグ・トランザクション、ハーベスティング、メッセージ送受信、請求書の発行、アグリゲート・トランザクション、メタデータなど豊富な機能を提供。
- ライトニングネットワークとカタパルトの基本的な動作の確認実験。
- NEMモザイクと、ビットコインやイーサリアムのカタパルト上でのクロスチェーンスワップ機能の動作確認。
- 新たな開発用SDKを2つリリース。
- コードネーム「エレファント」リリース後、カタパルトのコードを一時的にフリーズ。
- ローンチに向けて整備を行う。
2019年Q3後半~Q4初期(9月~11月頃?):カタパルトのメインネット公開
- オープンソースでのカタパルトをメインネットへローンチ。
- 新機能「アグリゲート・トランザクション」をサポート。
- 新機能「マルチレイヤー・マルチシグネチャー」をサポート。
- 改良版「ハーベスティング」をサポート。
- 新機能「エイリアス」をサポート。
- 新機能「アカウントプロパティ」をサポート。
- 改良版「ネームスペース」「モザイク」をサポート。
- ネットワーク手数料の変更。
- スーパーノード報酬制度の運用について最終決定。
- カタパルト普及へのマーケティング戦略を構築。
2019年Q4:カタパルトのローンチ後
- モバイルおよびデスクトップ版のウォレットのアップデート。
- STOトークンの導入をサポート。
- クロスチェーン・スワップをサポート。
- アポスティーユをより使いやすくするアプリケーションを提供。
- 投票機能をより使いやすくするアプリケーションを提供。
- カタパルトの教育プログラム「カタパルト・アカデミー」を開始。
2020年以降
- IoTを実現する機能を追加。
- ウォレットやアプリケーションがライトニングネットワークに対応。
- NEMブロックチェーン上でステーブルコインを発行。
- 投票モジュールを改良。
- NEMブロックチェーンをファイルストレージのように使う「IPFS」を提供。
カタパルト後のNEM(ネム)の価格や将来性は?
カタパルトが実装された後のNEM(ネム)はどうなるでしょうか?
やはり価格は高騰するのでしょうか?
また数年先の将来のNEMについても予測してみます。
カタパルト実装後はNEMの価格高騰が期待できる!
2018年3月25日にカタパルトの実装を発表した際には、大幅に価格が高騰する出来事がありました。
このときの発表はNEMのパブリックブロックチェーンへの実装ではなく、mijinのプライベートブロックチェーンでのベータ版のテスト実装でした。
それでもカタパルトへの期待値は非常に大きかったため、一時的とはいえ大幅に高騰する結果となったわけです。
もし、2019年後半にカタパルトが本格実装された場合、大きく高騰することが予想されます。
特にいまは、下降トレンドが続き、1 XEM = 4.45円程度まで大きく値を下げています。
カタパルト実装が大きなブレイクポイントとなり反転を開始する可能性が大きいです。
NEMの将来性は抜群!
NEMの時価総額は現在26位に低迷しています。
コインチェックのNEM不正流出事件で印象が悪くなってしまった感は否めないですが、あの事件の原因はコインチェックのずさんなセキュリティ体制にあり、NEM自体のセキュリティには問題ありませんでした。
カタパルトが実装されれば、処理速度でもリップルを上回り、スマートコントラクトやICOのプラットフォームとしての汎用性、総合的なスペックの高さにおいてもイーサリアムを上回ります。
「カタパルトさえ実装されれば反転するはず!」と信じてガチホしているNember(=NEMファン)も多いことでしょう。
実際、NEMが社会にしっかり浸透するまでにはまだまだ年数はかかるかもしれません。
しかし本質的な価値を持っている仮想通貨なので、将来性は抜群と言えるでしょう。
NEM(ネム)の取引所ランキング
NEM(ネム)をお得・簡単に購入できる取引所をご紹介します。
NEMを取引できる主な仮想通貨取引所を「取引所の使いやすさ」「価格や手数料などのコスト」「セキュリティ・信頼性」の3項目で評価した上で、独自基準にておすすめランキングにしました。
カタパルトが実装され価格が高騰する前にNEMを購入しておきましょう。
第1位:Coincheck(コインチェック)
Coincheck(コインチェック)は、2018年のNEM不正流出事件をきっかけに、東証一部上場のマネックスグループに買収されました。
マネックスグループの元、セキュリティ体制を中心に再建を進め、現在は業界でも一二を争う高度なセキュリティ体制を構築するに至っています。
スマホアプリが非常に使いやすいと評判で、初心者の方でも簡単にNEMを購入することができます。
- 業界一二を争う高度なセキュリティ体制
- 使いやすいスマホアプリ
- 東証一部上場のマネックスグループ運営
→ Coincheck(コインチェック)の公式サイトはこちら
第2位:DMM Bitcoin(DMMビットコイン)
DMM Bitcoinは、動画配信サービスやネット証券など様々な事業を行っているDMMグループが運営している仮想通貨取引所です。
DMM Bitcoinで、NEM(ネム)の現物取引はできませんが、NEMのレバレッジ取引ができます。
スマホアプリも非常に使いやすいのがうれしいポイント。
サポートも手厚くLINEチャットでもサポートを受けることができます。
NEM(ネム)でレバレッジ取引をしたい方にもっともおすすめしたい取引所です。
- 運営が大手企業のDMM
- NEMのレバレッジ取引がやりやすい
- スマホアプリが使いやすく、LINEなどサポートが充実!
第3位 :BINANCE(バイナンス)
Binance(バイナンス)は仮想通貨取引を行っている方なら、もはや知らない人はいないでしょう。
Binance(バイナンス)は、元々、中国で設立されましたが、現在は中国の規制の関係もありマルタに本拠地を置いています。
2017年に設立された後発組の取引所ですが、順調にユーザー数を増やし、現在は1,000万人以上のアクティブユーザーを抱える世界最大級の仮想通貨取引所です。
2018年3月20日にNEM(ネム)は上場されました。
仮想通貨の取り扱い数は100以上もあり、まだ価格が高騰していない掘り出しモノの仮想通貨を購入することもできます。
今後、仮想通貨取引を行っていく上で、必ず必要になる取引所ですので口座開設しておきましょう。
- 豊富な取り扱い仮想通貨
- 圧倒的な取引量
- 取引手数料が安い
圏外:Zaif(ザイフ)
元々はNEMと非常に関わりの深いテックビューロ社が運営していましたが、現在は、投資情報などを配信するフィスコが運営しています。
販売所形式ではなく、取引所形式でNEMを取引できるので、NEMの購入価格を安く抑えることができます。
UIが独特で若干使いづらいことと、セキュリティに不安が残る点がマイナスポイントです。
- 取引所形式でNEMを購入できる
- 上場会社フィスコの運営
- コイン積立ができる
圏外:bitFlyer(ビットフライヤー)
bitFlyer(ビットフライヤー)は国内最大級の仮想通貨取引所です。
NEM(ネム)だけでなく、多くの仮想通貨を取引できます。
販売所、取引所、FX、先物など様々な取引をでき、仮想通貨取引所としての機能はほとんど網羅しており、仮想通貨初心者の方には最もオススメしたい取引所です。
ただし取引手数料が若干割高なのがマイナスポイントです。
- 信頼感のある取引システム
- 国内随一の仮想通貨取引量
- 安心の補償制度
→ bitFlyer(ビットフライヤー)の公式サイトはこちら
ネムの購入方法
ここではおすすめ取引所第1位の「Coincheck(コインチェック)」で、NEMを購入する手順を実際の画像付きで詳しく解説しています。
なおCoincheck(コインチェック)の口座開設や日本円の入金は済んでいるものとして進めます。
口座開設や日本円の入金がまだの方は下記の記事を参考に先に済ませてください。
コインチェックのスマホアプリでNEMを購入する手順
コインチェックで取引する場合は使いやすいスマホアプリがおすすめです。
コインチェックのスマホアプリは下記からダウンロードできます。
- STEP.1スマホアプリを立ち上げる
スマホアプリを立ち上げてログインします。
最初は上図のようにビットコイン(BTC)の取引画面が開きます。
- STEP.2NEMの画面にする
下に少しスクロールすると「XEM」が出てくるのでタップします。
- STEP.3購入画面を開く
NEMのチャート画面になったら、右下の「購入」ボタンをタップします。
- STEP.4購入金額を入力する
購入したい金額を日本円で入力します。
500円と入力すれば自動的に500円分のNEMを購入してくれます。
最低購入金額が500円からです。
- STEP.5購入する
確認のダイアログが表示されます。
注文内容を確認して問題なければ「購入」をタップします。
以上でNEMの購入手続きは完了です。
簡単ですね!
注文処理は即座に実行されキャンセルはできませんので注意しましょう。
ネムの今後の課題や問題点
非常に将来性の高いNEMですが、乗り越えなくてはならない今後の課題や問題点もあります。
国内でNEMを取り扱う取引所が少ない
NEM(ネム)の現物取引をできる国内の仮想通貨取引所は「Coincheck(コインチェック)」と「Zaif(ザイフ)」の2件のみです。
DMM BitcoinでもNEM(ネム)を取引できますが、現物取引ではなくレバレッジ取引のみとなっています。
イーサリアムやリップルなどの人気通貨に比べ、国内の仮想通貨取引所でNEMを取引できる所は非常に少ないです。
Binance(バイナンス)などの大手海外取引所では、たいていNEMも取り扱っていますが、やはり海外取引所となるとハードルが高くなるのも事実。
日本市場は仮想通貨業界でも非常に大きいので、日本の取引所での取り扱いが少ないのは、購入する人口を増やす面で非常にデメリットが大きいです。
NEMを取り扱う取引所が少ない理由は定かではありませんが、コインチェックのNEM不正流出事件によるNEMのイメージ悪化が原因ではないかという指摘もあります。
今後、NEMを取り扱う国内の仮想通貨取引所が増えてくることが、NEMが成長する上で大きなポイントになりそうです。
スーパーノードの報酬が枯渇する可能性
NEMのハーベストは一定の条件を満たせば誰でも参加できます。
- 10,000XEM以上を、Nano Walletに所有すること。
Nano Walletは無料でダウンロードできますし、10,000XEMは現在の価格だと約4~5万円程度なので、そこまでハードルは高くありません。
さらにNEMには「スーパーノード」という仕組みがあります。
スーパーノードとは、24時間365日稼働し、他のノードからのハーベストを委任されて実行する特別なノードのことです。
スーパーノードになるにはなかなか厳しい条件がありますが、スーパーノードに選ばれると毎月300XEMもらうことができます。
- 300万XEM以上保有していること
- 5,000kbpsのインターネット回線を持っていること
- コンピューターを24時間365日稼働させること
- これまでの取引履歴をすべて持っていること
その他のスーパーノードになるための条件など詳細についてはNEM公式サイトをご参照ください。
さて、スーパーノードになれば毎月300XEMもらえると言いましたが、この原資はNEMを運営するためのファンドから出ています。
このままのペースでスーパーノード報酬を支払い続けると、2020年中には資金が枯渇すると言われています。
ファンドの資金が枯渇すれば、NEMのトランザクション手数料からスーパーノード報酬が支払われる予定となっています。
その時に、NEMネットワークで活発に取引されていなければトランザクション手数料では、スーパーノード報酬を全額まかなうことができない可能性もあります。
スーパーノードはNEMネットワークを維持するために非常に重要な役割を担っています。
スーパーノード報酬が減額されるなどうま味がなくなれば、スーパーノードが減ってしまい、NEMは静かに滅んでいってしまう可能性があります。
カタパルトのロードマップによると、2019年Q3後半~Q4初期(9月~11月頃?)に、スーパーノード報酬制度の運用について最終決定するとしているので、今後のスーパーノード報酬制度の行く末は注視しておく必要があります。
イーサリアムなど他の似たような志向のプロジェクトとの競争に勝てるか
NEMはスマートコントラクトを備え、分散型アプリケーションの開発プラットフォームとしても機能するなど、イーサリアムと非常に似た立ち位置のプロジェクトです。
現在は、時価総額やICOプラットフォームでもイーサリアムに大きく水をあけられている状況です。
NEMには「PoI」という公平性が保たれている独自のコンセンサスアルゴリズムを持っており、カタパルト実装によってイーサリアムを大きく上回る処理速度になるなど、大きな強みもあります。
とはいえ、イーサリアムも最終アップデート「セレニティ」を残しており、コンセンサスアルゴリズムや処理速度の大きな改善も予定されています。
NEMが今後生き残っていくには、イーサリアムなど同じような志向の他プロジェクトとの競争に勝てるか?という課題があります。
この競争はなかなか難易度が高いですが、カタパルト実装後にNEMがどれくらい成長できるかにかかっているでしょう。
NEM(ネム)のカタパルトとは?のまとめ
今回の記事では、NEM(ネム)の基本情報を復習し、カタパルトの内容や実装時期についても解説しました。
NEMのカタパルトが本稼働した場合は、既存の仮想通貨を遥かに超える有用性があります。
購入しやすいタイミングで、ご自身のポートフォリオの一つとして是非検討してみてください。
NEMを購入するならおすすめの取引所はCoincheck(コインチェック)です。
コインチェックの口座を持っていない方は、カタパルト実装によって価格が高騰する前に早めに口座開設をしておきましょう。