やさしい仮想通貨の始め方を解説

【証券アナリストが解説!】コロナショックとビットコインの関連性

コロナショックが世界の金融市場に激震を走らせており、その影響はビットコインまで当然ながら及ぼしつつあります。

このコロナショックとビットコインがどのように関連しているのか、どう整理すればいいのか難しい方も多いでしょう。

ここではコロナショックからどのような経路でビットコインに波及したのかを解説したいと思います。

今回のゼロはじMarketGuide専門家

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証券アナリスト・中島翔

プロフィール

証券アナリスト・中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。

その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。

その後は、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。

さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。

仮想通貨トレードに関しても、仮想通貨取引所コインチェックにて、トレーディング業務に従事した経験を持ち、金融業界に精通して幅広い知識を持つ。 金融業界に精通して幅広い知識を持つ。

【保有資格】証券アナリスト

コロナ相場の現状分析

ビットコインはリスク回避資産(通貨)?

最初に整理しておくべきは「ビットコインはリスク回避資産(通貨)なのか?」という点です。

リスク回避資産というのは、リスク資産と呼ばれる株や高金利通貨等が大きく売られた時に、その売って発生したお金をどこに逃すのか?というものになります。

リスク回避資産の代表例は「金(GOLD)」や「日本円」、「債券(先進国)」が該当します。

そのため株が売られると債券価格が上昇(金利は低下)すると教科書で書かれていると思いますが、このような逆相関の関係存在します。

これは株を売って一旦安全資産である債券にお金を逃しているということです。

ではビットコインはリスク回避資産なのでしょうか?リスク回避資産と訴えているアナリストは「発行上限が決まっていることからある意味GOLDと同じである」というのが主張では一般的です。

しかし個人的な結論は「どちらでもない」ということです。

よくニュースでは株が売られる過程でビットコインが買われ上昇したという解説が流れていますが、はっきり言って無理やりこじつけた理由づけとしか言えないでしょう。

それは下記の内容から視覚的に理解できます。

上記は2018年春から夏にかけてのNYダウとビットコインのチャートです。

オレンジのNYダウが上昇する過程で、ビットコインは下落トレンドを形成しているのが把握できます。

次に上記は足元のNYダウとビットコインのチャートです。

全く同じ動きで動いているのがわかるでしょう。

もしもビットコインがリスク回避資産であれば2つ目のチャートでNYダウが下落する過程ではビットコインが上昇するのが通常の動きだと考えられます。

このように状況に応じてビットコインは全く違う動きをするため注意しましょう。

コロナショックで起きたビットコインの値動き

次に要因を考える前にどの程度下落したのかを見ていきたいと思います。

上記は直近のビットコインのチャートです。

年初から上昇傾向にあったビットコインは反転下落し高値から1ヶ月程度で60%の下落をみせています。

特にコロナショックで世界同時株安が起きた3月11日では1日で40%弱の急落を見せており、流動性が枯渇してしまい、買い手不在の状態となっていました。

これだけの急落を見せるのは良くも悪くもビットコインが投資対象でも大き過ぎると再確認できる動きを見せました。

では次に足元の状況でビットコインが下落している理由を詳しく解説したいと思います。

ビットコイン急落の原因は?

最初に結論からお伝えします。

急落の原因は「現金化を急ぐ投資家」が原因です。

現金化を急ぐというのはどういう意味かというと、今回急落したタイミングでは金融市場全体で教科書的ではない動きが続いていました。

下記のチャートをご覧ください。

このチャートはオレンジがNYダウ、青色がビットコイン、水色が金価格、黄色が米国債10年金利になります。

※米国債金利の動きを示しているため金利が上昇すると債券価格が下落(黄色が上昇すると金利も上昇しており債券価格は下落)

通常金融市場ではNYダウが下落すると米国債金利は低下(債券価格は上昇)し、金価格は上昇することになります。

しかし上記のチャートをご覧頂くと、NYダウが下落する過程で債券価格も金価格もビットコイン価格も総じて下落する動きとなっています。

ではなぜこのような動きになるのでしょうか?

1.追証発生による証拠金不足

最初に要因としてあげられるのは追証に追い込まれた株の投資家、FXの投資家の存在です。

つまりFXや株の信用評価損の不足した金額を埋めるためにビットコインを売りにいった投資家が多い状況となっていました。

特にビットコインをリスク回避資産と考えている投資家の場合、株をロングしていると、ビットコインをロングすることで万が一株が下落したとしてもビットコインの上昇で株の評価損をカバーできると考えます。

しかし今回のように全て下落して損失を被った場合は手の打ちようがなく、値動きの激しく感覚的に危険と感じるビットコインを売りにいき、現金化して追証部分に充てるという動きが出ています。

リーマンショックの時も同じ動きとなっていますが、人間が混乱に陥ると値動きの激しいものから売り始めるという動きを取るため、リーマンショックの時になかったビットコインのプロダクトは、保有している投資家からするとすぐに売りたくなる投資対象と言えるでしょう。

2.心理的不安から保有資産を清算

これはレバレッジをかけて投資している投資家に特に共通している動きです。

急落して精神的にその評価損に耐えきれなくなった場合やけになって全て売ってしまい投資から撤退する投資家も相応に出てきます。

しかしこの動きを見定めることはとても重要です。

このように人間が最後の最後で追い込まれてこの投資行動を取った場合はこれ以上売りに行く投資家が減っているということになり、急落した時が最安値となることが投資の世界では往々にしてあります。

徐々に下落していて、最後に大きな下落をみせ、そこから徐々に回復過程に入るというのはビットコインに限らず、どの投資対象でも同じことが言えるためとても重要でチェックすべき点でしょう。

3.重要な節目を突破

次はストップロス注文が発動したことが直近の急落の大きな要因の一つです。

ストップロス注文というのは投資家が「この水準まで下落したら損失確定でいいから成り行きで売ります」という注文のことで、もしもロングポジションを保有していた場合、ストップロス注文は売り注文で注文を出すことになります。

ではこの注文はどこで出ていて今回の急落に影響したか下記のチャートで確認しましょう。

紫の水平線のラインをチェックするとわかる通り重要な安値となっています。

5月に下ヒゲでタッチするも反発しており12月に再度このラインの下方ブレイクを試すも失敗し反発しています。

しかし今回の急落によってこのラインを下方ブレイクし、ラインの下に積み上がっていたストップロスの注文が発動しより下落圧力を強めた動きになっています

テクニカル的な要因でもこのラインは無視できないラインだったことが値動きを増幅したトリガーの一つとなったと言えるでしょう。

コロナショックによる影響はどのように考えるべきか

最後に今回のビットコインの急落に対してどのように捉えておくべきかコメントします。

まず大きなトレンドは上昇にあると言えるでしょう。

その理由はビットコインだけでも時価総額10兆円以上ある中、運用会社も仮想通貨投資をポートフォリオの一部として導入したいと考えているところも多くなり、参加者は減るというよりは増えていく動きが続いています。

また2017年から2018年にかけて個人投資家が一旦撤退し、冬の時代が訪れていましたが、一旦今回のような急落を見せた後はみんな下方向で見始めるからこそ上に行きやすいと個人的には考えています。

また個人投資家が減少する中で取引量の多い機関投資家が立ち上がる動きが出ているため、ドミナンスを見てもビットコインが強くなるのは自然の動きと言えます。

機関投資家は「売りたい時に売れないリスク」を一番怖がるものです。

そのため仮想通貨デスクを立ち上げると最初に購入してくるのは消去法的にビットコイン一択になります。

このような理由から考えても急落は拾っていくチャンスと捉えるのがいいと思っています。

見方は色々ありますが最終的に中期的な投資で考えたら参加者が増えている中大きく下がり続けることはないだろうと考えています。

この記事の寄稿者

証券アナリスト・中島 翔 (Sho Nakashima)

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。 その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。 その後は、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。 さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。 仮想通貨トレードに関しても、仮想通貨取引所コインチェックにて、トレーディング業務に従事した経験を持ち、金融業界に精通して幅広い知識を持つ。 金融業界に精通して幅広い知識を持つ。 【保有資格】証券アナリスト