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LONGHASH Japan代表 クリス・ダイ氏インタビューvol.8 分散型システムの活用【フィスコ 株・企業報】

◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 −10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の巻頭特集「LONGHASH Japan代表取締役 クリス・ダイ氏インタビュー」の一部である。全8回に分けて配信する。


今年2月に設立されたLONGHASH Japanは、分散型ビジネスモデルを可能にするブロックチェーン活用事業の支援を主軸として設立された注目の企業である。今回はLONGHASH Japan代表取締役社長、クリス・ダイ氏に、ブロックチェーンに代表される分散型ビジネスの将来性やその普及に至るまでの課題なども含めて、お話を伺った。

■ブロックチェーンを利用した分散型ビジネスについて、マイクロファイナンスにおける資産管理への活用やIoTへの応用といった例を挙げていただきましたが(インタビューVol.7で言及)、他にはどういったことに活用できるでしょうか。

ドローンで農地に農薬を散布する事業が拡大すれば、どの農地にはどのような農薬をどれくらい散布すると効果的かというデータが、他のドローンとの間で共有されます。その後の農薬散布の効率も全体的に向上していくでしょう。従来型の中央集権的コントロールであれば、数十台、数百台の農薬散布ドローンを、ひとつのサーバーで遠隔操作するのかもしれません。しかし、そのサーバーに異常が発生したなら、すべてのドローンが動かなくなってしまうのが弱点です。

個々のドローンがAIに自分のウォレットから支払いをして分析サービスを購入する分散型ネットワークによって、あるドローンが集めた農薬散布データと、別のドローンが保有するトークンとの交換が自動化されます。つまり、サーバーがデータを一方的に収集するのでなく、対価を支払う取引によって、AIの分析対象であるビッグデータが形成されるようになるのです。ここに自律可能なトークンエコノミーの仕組みができあがります。

農薬散布データの共有は、分散型ネットワークのアプリ(Dapps)で行います。アプリは、今でいえばAppleのApp Storeのようなマーケットプレイスで購入できますので、どのドローンもネットワークに自由に参加できるのです。

LONGHASHではIoTのデータマーケットで使われることを想定したトークンとして「Taraxa」を支援しています。これはアメリカで開発されていまして、スタンフォード大学やブラウン大学の博士号を持っているようなエンジニアらが関わっています。

■LONGHASHが直近で考えている取り組みについてお聞かせください。

金融庁や金融業界の支配エリート層に対しては、マネーロンダリングを防止できるデータ分析についてアピールしていきます。一方で、現在の法規制に関わらないブロックチェーン分野、たとえば弊社で提供するウォレットなどの事業を、まずは本格的に広めていきたいと考えています。

日本政府は現在、ICOに対して厳しい態度で臨んでいます。

とはいえ、中国などの先進諸国はブロックチェーン事業全般に対し、さらに厳しい規制を敷いているのも確かですから、これからの国際社会において、日本が分散型システムのホットスポットになれるチャンスは依然としてあります。

そのチャンスを掴みに行けるかどうかは、政府の規制次第ですが、政府も本音ではサポートしたい気持ちがあるように感じています。

【クリス・ダイProfile】
中国上海出身。LONGHASH Japan代表取締役社長。中国と日本のクロスボーダー投資ファンドLeland Capitalの共同創設者兼CEO。中国と日本での活動を中心に、幅広いビジネスマネジメントと投資を行い、COO/CIO Yixing SCM(ロジスティクス・プロバイダー)、Accentureのコンサルタント、複数のベンチャー企業の共同設立者。中国のビットコインとイーサリアムの早期の投資家の一人で、2013年から仮想通貨投資に携わる。経済産業研究所ブロックチェーン研究会委員。2004年にスタンフォード大学でマネジメントと科学と工業工学卒業。