「ビットコインは儲かる!」
「ビットコインは危ない!!』
ビットコインに興味を持つと、肯定的な情報も否定的な情報も多く何が正しいのかわからなくなりますよね。
ビットコインは「仮想通貨」「暗号通貨」などと呼ばれるように、ビットコインの仕組みを理解するには技術的な知識が必要になり性質を理解するのが大変です。
その上、日本で仮想通貨がメディアで最初に取り上げられたのが「なんたらゴックス取引所の破綻」です。
2018年に入ってからはコインチェックのNEM流出事件もあり、仮想通貨は危険と報道されることが多いことから危ないものという先入観があるでしょう。
しかし、こうした事件の原因は取引所のセキュリティが甘かっただけで、ビットコインや他の仮想通貨の仕組み自体が原因ではありません。
むしろ、銀行や大手企業が自社の仕組みに組み込めないか研究しているほど、ビットコインの仕組みには高いセキュリティ性能があります。
そこで今回は、これからビットコインを始める方に向けて最低限の仕組みを図解でわかりやすく解説します。
安全性に注目して解説しているので、「仮想通貨は安全」ということを確認して安心して取引を始めてくださいね!
ステップ1:仮想通貨と普通のお金、どっちが安全?
まずは仮想通貨と普通のお金の安全性の違いを理解しましょう。
次のステップでさらに詳しいビットコインの仕組みに触れていきますので、まずはなんとなくわかれば大丈夫ですよ!
普通のお金の仕組みと危険性
私たちが普段使っている日本円は、日本政府が発行している法定通貨です。
国が発行した通貨は日本銀行などの金融機関から企業・金融機関に融資・投資されて流通します。
このように発行者は行政ですが、実際は銀行がお金の流れの中心になっています。
「国が発行しているから安心だ!」と思うかもしれませんが、実は法定通貨も絶対安全というものではありません。
- 国の財政破綻の可能性
- 発行枚数の過不足、インフレ・デフレの影響
- 銀行の経営破綻・サーバーデータの消失
- ヒューマンエラー
行政が発行している法定通貨も、国の財政破綻の影響で紙くずになるリスクは常にあります。
世界的に見ると、国の財政破綻で通貨が無価値になることはよく起こっているのもまた事実です。
記憶に新しいところだとギリシャの財政破綻問題でしょう。
先進国だろうと、国の状態によって価値が暴落する可能性があるということです。
- ギリシャ
- ロシア
- アルゼンチン
- トルコ
- アイスランド
もちろん、日本円は安全な通貨と言われてはいます。
しかし、国債発行額がどの国より多い借金大国でもあります。
そう考えると、日本円が絶対安全な通貨とは言い切れませんよね。
預金データが中央管理されていることのリスク
実生活レベルでは他にもリスクが考えられます。
それはずばり、銀行に預けているお金がデータ化されていることです。
銀行に預けたお金は「地下に大きな金庫があって厳重に保管されている」という印象を持っている方がいます。
しかし、実際は金庫に現金が保管されているわけではなく、「Aさんの残高は1000万円」というデータが銀行の中央サーバーに保管されているだけです。
万が一このデータが消えたら資産が消えてしまいます。
預金データを保管しているのは1台のサーバーではなく、複数のサーバーに分散したり何重にも予備データを作ったりと消失リスクを最小限にしています。
しかし、仮に銀行のサーバー全てが破壊される事態が発生したら、私たちの預金はすべて消えてしまいますよね。
サーバーが破壊されることはなくとも、銀行のシステムにハッキングがあったら、従来の仕組みでは預金データが書き換えられる可能性だってあります。
- サーバーがダウン・破壊されたらシステム全体が止まる
- サーバーがハッキングによる預金額の改ざんリスク
- 行員による横領・不正出金・操作ミスによるデータ消失リスク
こうした1つないし複数のサーバーにデータを集中させる方式を「クライアントサーバーモデル」といいます。
中央管理されているシステムは「中央管理機器」にトラブルがあるとシステム全体が止まるリスクがあるのです。
大きなニュースにはなりませんでしたが、2016年8月に三重銀行が中央サーバーの設定ミスにより、丸一日もの間すべてのATMが利用できないトラブルを起こしました。
幸いすぐに復旧して大きな影響はありませんでしたが、従来の仕組みではこうした事件はいつ起こってもおかしくありません。
ビットコインの基本的な仕組みと安全性
法定通貨は国が管理しているのに対し、ビットコインは「中央管理されていない」という特徴があります。
従来の銀行システムでは中央サーバーに集中させている取引データを、ビットコインはP2P接続された各コンピューターに分散させて保管しています。
P2Pとは、Peer-to-Peerの略で、各コンピューターがデータの提供・要求を行う自律分散型のネットワークモデルです。
一昔前のWinnyなどファイル共有ソフトがP2Pを利用していたことで負のイメージを持つ方が多いのですが、MicrosoftのSkypeなど多くのメジャーサービスが採用している便利で安全性の高い接続方式です。
一箇所にデータを集中させないことで、システムダウンのリスクが極めて低く安定性が非常に高い特徴があります。
このP2Pで分散管理されていることで、ビットコインの仕組みは非常に安全性の高いものになっています。
現在ではビットコインに参加しているコンピューターは数百万台以上あり、全て同時に破壊・ハッキングすることは不可能といえるでしょう。
また、日本円などの法定通貨は、行政の政策や経済状況から発行量が調整されますよね。
そのため発行量の調整にミスがあると、通貨の価値が暴騰・暴落するリスクが常にあるということです。
一方ビットコインは事前に2,100万枚までと発行量が決まっていることで、発行量に強く影響されて価値が変動することはありません。
具体的には10分ごとに25BTCが新規発行され、「マイニング」というビットコイン取引の承認作業を行う「マイナー」に報酬として支払われ流通が始まります。
なお、今回はマイニングやマイナーについては割愛します。
マイニングについて詳しく知りたい方は以下の記事もチェックしてください。
ステップ2:ブロックチェーンの仕組みは安全性が高い
ここまでの解説でビットコインの取引データはP2Pで各コンピューターに分散されて保管されていることで、システムの安全性が確保されているとご理解いただけたかと思います。
続いて、ビットコインの取引データを安全に保管している「ブロックチェーン」について解説します。
ビットコインを語るには避けては通れない部分で、詳細な説明はかなり難しい部分です。
そのため、今回は全くブロックチェーンについて知らない方が理解することを優先した解説をします。
ブロックチェーン=取引台帳
ビットコインのP2Pネットワーク上に保管されている取引データ本体は、ブロックという単位で区切られています。
ビットコインを売買するとき、「AさんからBさんへ1BTC送金」といったトランザクション(取引データ)が生成されます。
そして10分ごとに新しいブロック生成する時に、トランザクションがブロックに書き込まれると取引が実行されるのです。
このブロックは鎖のように時系列に沿って連結されているので、この仕組みのことをブロックチェーンと呼ばれています。
さらに取引データ以外にも、今までの取引履歴をまとめた「ハッシュ」やハッシュが正しいことを証明する「ナンス」という暗号が保管されます。
- 直近10分間のトランザクション(取引データ)
- 前のブロックのハッシュ
- ナンス
ハッシュとナンスは非常に複雑な計算で生成され、元のデータが一文字でも異なると全く違う値になります。
ブロックチェーンでは、必ず次のブロックに今までの取引内容のハッシュ値を継承します。
「Cさんが今までのブロックで2BTC購入→今回のブロックで1BTC売却」:正しい取引として処理。
「Dさんが今までのブロックで1BTC購入→今回のブロックで2BTC売却」:保有数以上の売却のため非承認
「Eさんが以前のブロックを改ざんして10BTC不正取得」:既に先のブロックに承認済みハッシュがあることで無効化される
今までの取引履歴であるハッシュが次のブロックに引き渡されることで、不正な取引や既存データへのハッキングを防いでいるということですね。
また、ナンスはハッシュと組み合わせて特定の計算をすると、決まった答えが出ます。
この性質から、ナンスはブロック内のハッシュが正しいか確認するために利用され、マイナーの過半数が「正しいハッシュ」と確認した時点でブロックが完成する仕組みになっています。
ナンスで過半数の承認を得る仕組みにすることで、現在のブロックをハッキングしてもビットコインの不正取得は極めて難易度の高いものになっています。
- 過半数のマイナーを騙す
- マイナーの過半数のコンピューターを同時にハッキング・ウイルス感染させる
- 自身のみで過半数になるほど大規模なマイニング設備を保有
このいずれかを満たさなければ、現ブロックでビットコインを不正取得することはできません。
つまり、ビットコインのブロックチェーンでは過去データも現在のデータも改ざんができない、セキュリティ性の高い仕組みだということです。
従来の銀行が採用しているクライアントサーバー方式では、サーバーがハッキングされて預金データを改ざんされたらそれまでです。
このことから、ブロックチェーンは安全性に注目され、大手銀行や大手企業が自社システムにブロックチェーンを導入しようと研究しているのです。
ステップ3:実際の取引も安全!秘密鍵について
続いて、実際にビットコインを購入する取引を考えていきましょう。
ビットコインでは「秘密鍵」と「公開鍵」を利用して取引のデータをやりとりしています。
秘密鍵とは、英数字・記号で作成された64桁の暗号データです。
英数字だけでも36の64乗なので、軽く世界人口の1,000万倍程のパターンが作成できます。
この秘密鍵は人に教えることは絶対にしてはならないもので、万が一漏洩するとウォレットや取引所から不正に出金される可能性が高まります。
普通の銀行でいう「暗証番号」や「銀行印」にあたるものですね。
公開鍵は秘密鍵から作られる暗号です。
公開鍵から秘密鍵の文字列は逆算不可能なので、他人に公開して問題のないものです。
ビットコインの口座番号にあたる「ビットコインアドレス」も公開鍵から作成します。
ビットコインアドレスを人に教えることで、ビットコインを送金してもらうことができます。
こちらは普通の銀行でいう「口座番号」にあたるものですね。
ビットコインを送金したり取り出したりする時は、秘密鍵がないと操作ができません。
とはいえ、実際に取引所で売買する場合、私たちは取引画面で何BTCをいくらで売買するか入力するだけです。
Bさんが1BTCをAさんから購入する場合、次の流れで取引が成立します。
取引データが不正に流されるのを防ぐため、秘密鍵による「電子署名」されたデータでないと、ビットコインの仕組み上、正しい取引だと承認してくれません。
つまり、電子署名のないなりすましや取引の改ざん・偽造を防ぐことができるのです。
銀行ATMで出金するのも、ネットやATMから振り込むのも暗証番号や印鑑がないとできないのと一緒ですね。
ただ、銀行とリスクは同じで「不正にログイン」されると秘密鍵もろともビットコインが盗まれる可能性があります。
各取引所やオンラインのウォレットにワンタイムパスワードの設定ができるのはこのためです。
なにも対策していない状態だと資産が奪われる危険性は、日本円も仮想通貨も同じということです。
取引のネットワーク上の安全性は秘密鍵などの仕組みにより担保されていますが、パソコンのセキュリティ・口座へのログインセキュリティは自己責任なのでしっかり対策しておきましょうね!
ビットコインの仕組みまとめ
今回はこれからビットコインを始める方に向けて、主にビットコインの安全性の観点から仕組みを解説しました。
ビットコインのシステムは、大手銀行・大手企業が自社システムに取り込みたい程、セキュリティが高い安全な取引システムです。
- P2Pで取引データが自律分散しているから安全性が高い
- ブロックチェーンは今までの取引データ継承している。
- 承認された取引しか完了しないから安全。
- 秘密鍵(暗証番号)があるから不正取引も防げる
しかし、ご自身のセキュリティ管理が甘いと、いくらシステムのセキュリティが高くても意味がありません。
今回の解説で「ビットコイン・仮想通貨は危険」という認識はなくなったと思います。
それでも大切な資産を運用するのですから、しっかりパソコンのセキュリティ対策や取引口座・ウォレットのワンタイムパスワードも設定し、安全に仮想通貨に参加して稼ぎましょうね!