仮想通貨取引が盛んなのはどの国の市場なのかについて考察するため、2月初めのある1日でビットコイン取引が特に多かった通貨は何かに注目してみた。
トップは日本円 2位の米ドルと合わせてシェアは93.95%
仮想通貨情報サイトのコインヒルズ・ドットコムは協定世界時(UTC)6日11時、それまでの24時間で各国の法定通貨と交換されたビットコインは約72万6794BTCだったとの推計を明らかにした。
最も多く使われたのは日本円で、法定通貨と取引されたビットコイン全体の48.49%だった。
さかのぼって2017年、特に中国が国内の仮想通貨取引所への締め付けを強化して以降、日本円はビットコイン取引の中心的存在となっていた。だが2018年に日本の取引所「コインチェック」がハッキングされて5億ドル以上に相当する仮想通貨が流出する事件が発生。その結果、日本の規制当局は仮想通貨に対し神経をひどくとがらせるようになった。
こうした状況にもかかわらず、いまだに日本円がビットコインとの交換が最も盛んに行われている法定通貨であるとすれば、日本の仮想通貨への関心は今も高いということになる。
比較として外為市場における日本円の位置を見てみると、取引高は米ドルとユーロに続く世界第3位だ。また、世界各国の外貨準備に占める比率は、米ドルやユーロ、英ポンドに続く第4位となっている。
一方、コインヒルによれば、ビットコインと法定通貨の取引において日本円が占める割合は米ドルの45.46%を上回る。
ここで留意しておくべきは、米ドルは米国以外の多くの国々でも使われている通貨だということだ。ワールドデータによれば、米ドルは少なくとも15カ国で通貨として使われているほか、米ドルとの固定相場制を採る通貨も多い。
米ドルが世界各国の外貨準備に占める割合は62%近く、米ドル紙幣の65%は米国外で使われているとの推計もある。つまり、ビットコイン取引における米ドルのシェアの高さは、必ずしも米国におけるビットコイン人気を反映しているとは言えないかも知れないのだ。
また、米ドルが外国市場で幅広く使われていることも、米ドルがビットコインとの取引で多く使われる要因の1つとなっている可能性がある。例えばベネズエラのように法定通貨が深刻なインフレに陥った国々では、米ドルのような外国通貨やビットコインのような仮想通貨が決済の手段としてよく使われている。
他の国々の通貨のシェアはたったの6%
他の国々の通貨が占める比率はといえば、日本円や米ドルとは大きく水をあけられている。
同じ24時間のデータを見ると、米ドルと日本円を除く70以上の法定通貨を合わせたビットコイン取引高は4万3934BTCで、全体に占める割合はたったの6.05%だった。
日本円と米ドルに続いて取引が多かったのはユーロで、全体に占める比率は1.71%だった。その次は僅差で韓国ウォン(1.56%)が続いた。
第5位はトルコ・リラ(0.8%)で、英ポンド(0.77%)がそれに続いた。
トルコ・リラによる取引が多かった理由の1つは、同国のインフレにある。ブルームバーグによれば、昨年、米ドルに対するリラの相場は28%も下落した。ベネズエラのようにインフレに悩む国々の市場で仮想通貨が広まりつつあるのとほぼ同じ理由で、トルコの人々も仮想通貨を使うようになっているのかも知れない。
つまり、仮想通貨と法定通貨をつなぐゲートウェイ通貨という意味で、日本円と米ドルの優勢は現時点では揺らがないと言っていいだろう。
(記事提供:LongHash)
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