イーサリアムの次なる大型アップデート「イスタンブール」に向け、これまでに提出されたEIP(イーサリアム改善提案)のリストが公開された。その数は28におよび、近日中に少なくとももう1つ追加される予定だ。
コア開発者は改善案提出締め切り当日(5月17日)に電話会議を通し、そのうち約12件のEIPについて詳細な議論を行ったという。その結果、1件のみが仮承認を受け、大半は後日に予定される追加議論で話し合いが行われる予定だ。
次回のコア開発者会議でベンチマークとなる数値を提示する」という条件付きで仮承認を受けたのは、EIP 1108という改善案。これは第二曲線暗号のプリコンパイルを見直すことで、プライバシー・ソリューションとスケーリング・ソリューションに役立てるという改善案だ。要するに匿名性と処理能力に関するものである。
ASIC対応改善提案、トランザクション手数料モデル導入案は延期?
議論の対象となった改善案の中には、監査遅れが原因でアルゴリズム「ProgPoW」の導入延期の可能性が報じられたばかりのEIP 1057も含まれる。EIP1057はコンセンサス・アルゴリズムを現行のEthashからProgPoWに置き換えることで、ASICマイニングの効率を下げ、GPUに優位性を与えるという提案だ。
年間最大6億5500万ドル(約715億 7036万円)の報酬を生みだすイーサリアムのマイニングにおいて、昨年4月以降「ASICがGPUのパフォーマンスを上回るのではないか」という懸念が生じている。EIP1057は「マイニング環境の集中化」に対するソリューションとして、イーサリアムのコア開発者に昨年2回承認を受けた。
また、EIP 1559の新しいトランザクション手数料モデルを導入するという提案は、開発者のRick Dudley氏いわく「かなり複雑な変更」であるため、恐らく10月中旬にメインネット・アクティベーションが予定されているイスタンブールには間に合わないとの見解を示した。
今後のタイムライン
EIPのリストとともに発表された今後のタイムラインは以下の通り。
• 2019月07月19 日(金)主要なクライアント実装の仮期限
• 2019年8月14日(水)テストネット・アップグレード予定日
• 2019月10月16日(水)メインネット・アップグレード(イスタンブール)予定日
ハードフォーク・プロセスを「固定9ヶ月サイクル」に分割
イスタンブールのハードフォークの次の正式な期限には、承認を受けたEIPをクライアントと呼ばれる既存のバージョンのイーサリアムのソフトウェアにマージ(併合)する。EIP2015(リストには含まれていない)の作成者であるJames Hancock氏は、「このステップはコードをまとめることに似ているため完全にテストできる」とCoinDeskに語った。「提案は2つの主要なクライアントにリファレンス実装を含めること」であり、ここでいう「主要」の定義はかなりアバウトだという。
イスタンブールで予定されているタイムラインは、過去のイーサリアムのハードフォーク・アプローチとは異なる。元イーサリアムの開発者Afri Schoedon氏とイーサリアム・ファウンデーションの開発者Alex Beregszaszi氏が、ハードフォーク・プロセスを「固定9ヶ月サイクル」に分割する方法として提案したものだ。
今回(5月)の締め切り前に受け入れられていたプロトコル・アップグレードをメインネットにリリースすることが目的であり、それ以降に承認されたすべての改善案は9か月後に実施される次のハードフォークに含まれる。
この新たなアプローチに対し、イーサリアム・ファウンデーションの助成金受領者であるAlexey Akhunov氏は、「提案された新たな期限について皆が考える必要がある」とGitterチャットルームを通して呼びかけている。
いずれにせよ現時点で提案されているイスタンブールEIPは順番にふるいにかけられ、最終的には「本物」だけが実装されるはずだ。今後いくつのEIPが承認されるか、今後の注目に値する。
(記事提供:コインポスト)
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