中国地方を地盤とする電力会社の中国電力<9504>は25日、情報システムに関わる製品やサービスを手がける日本アイ・ビー・エムとともに、ブロックチェーンを活用し、再生可能エネルギー(再エネ電気)で発電された電気を顧客の間で融通するシステムの実証実験を開始したと発表した。
再生可能エネルギーをめぐっては、2019年11月以降、固定価格買取制度に基づく買取期間が順次終了する予定である。これにより、電力の消費者は自家消費することや、自ら選択した事業者に再エネ電気を販売することができるようになるほか、再生可能エネルギーなどの分散型電源や蓄電池の普及拡大に伴い、将来的には個人や企業間で電力取引が行われる可能性があるという。
同社はこうした背景から、取引記録の信頼性、システムの可用性等に優れるブロックチェーン技術を活用し、顧客同士が電力や価値を直接取引する「P2P(Peer-to-Peer)取引」について実証試験を行うにいたったとしている。
同実証実験では、ビジネス向けのブロックチェーン基盤技術を活用したシステムをIBMクラウド上に構築し、再エネ電気(太陽光発電)を供給する顧客と購入を希望する顧客をマッチングする、模擬的な電力の取引を行う。取引結果はブロックチェーン上に記録され、購入量よりも余剰電力供給量が多い場合、余った再エネ電気は同社が買い取り、余剰電力供給量よりも購入量が多い場合、マッチングできなかった顧客には同社が電気を供給する仕組みだ。
この実証実験により、同社は「ブロックチェーン技術の適用に関する知見を獲得するとともに、デジタル化技術を活用し、電気事業のイノベーションや地域の課題解決につながる新たなビジネスモデルの検討などを行っていく」とコメントしている。