580億円もの仮想通貨流出事件で、大きな話題を呼んだコインチェック(coincheck)。
2018年1月26日に起こったこの事件から、はや一年以上が経過しますが、現在のコインチェックはどのような状態にあるのでしょうか?
- コインチェックの基本情報
- コインチェック流出事件の詳細
- 流出事件後の経過
- コインチェックの現在の状況
- コインチェックのセキュリティやハッキング対策について
- コインチェックに関する口コミや評判
これらの情報を中心に、コインチェックの過去から現在に至るまでを徹底的にリサーチし、現状をまとめました。
この記事を読めば、コインチェックが今どんな状況にあり、使える取引所なのか否かの判断に役立てられるはずです。
目次
Coincheck(コインチェック)とは
Coincheck(コインチェック)は2012年に設立された仮想通貨取引所で、国内取引所の中では老舗に分類されます。
元々は「コインチェック株式会社」が運営する取引所でしたが、例の流出事件の影響を受けてコインチェック株式会社は「マネックスグループ株式会社」の子会社となりました。
完全子会社化は、流出事件の教訓を得て証券会社大手であるマネックスのサポートを受けながら、セキュリティやハッキング対策の強化を図るためと言えるでしょう。
事実、2019年1月には金融庁が安全性を認めて、法に基づく正式な取引所として認可を下した取引所となっています。
Coincheck(コインチェック)の取引所概要まとめ
会社名 | コインチェック株式会社 |
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設立年 | 2012年8月 |
代表取締役 | 勝屋敏彦 |
会社所在地 | 東京都渋谷区渋谷3-28-13 渋谷新南口ビル3F |
登録番号 | 関東財務局長00014号 |
取扱通貨※1 | BTC、ETH、ETC、LSK FCT、XRP、XEM、LTC、BCH、MONA |
公式HP | https://coincheck.com/ja/ |
※1 2019.6.5時点
Coincheck(コインチェック)流出事件とは?
コインチェック流出事件は仮想通貨業界だけでなく、日本全体を巻き込むほどの大騒動となりました。
結果的にコインチェックは資本面だけでなく、信頼性の部分でも大きなダメージを受けるわけですが、ここで改めて流出事件の詳細を整理しておきましょう。
Coincheck(コインチェック)流出事件発生
事件が発生したのは、2017年1月26日。
【NEMの入金について】
現在、NEMの入金について制限をさせていただいております。入金を行なった場合は反映がされませんため、入金を行わないようお願い申し上げます。— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) January 26, 2018
コインチェック公式ツイッターが取扱い通貨であるNEM(ネム)の入金制限に関するお知らせを発表したのが始まりでした。
この後、立て続けにコインチェックが「NEMの入金・売買・出金の停止」、「日本円を含む全通貨の出金停止のお知らせ」などを発表。
ユーザー間では突然の出来事に不安や様々な憶測が流れる中、NEMの開発元であるNEM財団のLon Wong(ロン・ウォン)氏による「コインチェックがハッキングされたのは残念」とのツイートにより、NEMの流出が露見しました。
被害額はマウントゴックスの470億円を上回る、過去最大規模の約580億円。
事件の際、日本では仮想通貨ブームの真っ最中ということもあり、このニュースは全国的に大きなニュースとなりました。
- 原因はCoincheck社が顧客の資産を、ネットにつながった状態である「ホットウォレット」上で管理していたため
- オンライン管理を逆手に取られ、ハッカーによって金庫のパスワードが盗まれた結果、流出してしまった
- 直接的な原因は会社に送られてきたメールを開いた際のウィルス感染
仮想通貨取引所のように顧客の資産を預かる機関では、ネット上からのハッキングや不正アクセスを防ぐため、資産をオフライン上で管理する「コールドウォレット」を採用するのが定石です。
しかしながら日本での大規模の仮想通貨ブームの影響で、当時取引が非常に盛んであったため、コインチェックはオンラインに繋いだ状態で資産を管理していたと言われており、結果的にこのシステムが仇となってしまいました。
流出事件発生後のCoincheck(コインチェック)の対応
盗難にあった約580円相当のNEMはコインチェックの資産ではなく、全て顧客から預けられていたものでした。
そのため、当然ながら補填(返却)の義務が発生し、Coincheck社は日本円で被害額の返済を順次実施。
ただし、NEMは価格が下がっていた状態にあったため、大半のユーザーは損をする形となってしまいました。
いっぽう巨額の損失であったにも関わらず、当初の予想を覆して補填を完了させた事実も見逃せず、結果的にCoincheck社の資本力が高かったことを証明する対応ともなりました。
【流出事件に関するコインチェックの記者会見】
Coincheck(コインチェック)流出事件の影響
巨額の流出事件であったため、補填だけで全て終わりというわけにもいかず、事件の影響は行政までも巻き込み様々な部分に影響を与えました。
- 金融庁が本格的に動き出す・・・流出事件をきっかけに、これまで直接的な関わりを持たなかった金融庁がCoincheck社に向けて業務改善命令を下します。
更に金融庁は他の仮想通貨取引所に対しても立入検査を実施し、運営体制を指摘するなど、国内取引所に対する国の態度が大きく変わるきっかけともなりました。
- 匿名通貨の上場廃止・・・・金融庁が、送り手・受け手を匿名化した形で取引可能とする匿名系通貨(DASH,Monero等)に関してリスクが高いとみなし、事業再開後のコインチェックではこれらの通貨の上場(取扱い)が廃止されました。
またコインチェックでは流出事件直後、更なる流出リスクを防ぐ目的で全ての通貨の出金を停止。
その後日本円だけ出金制限がすぐに解除されましたが、その他の通貨に関してはすべて出金が停止され、ユーザーの多くが取引困難となった結果、仮想通貨市場全体の下降路線を生み出すきっかけともなってしまいました。
Coincheck(コインチェック)流出事件~現在までを時系列で整理
コインチェック流出事件から現在に至るまでの主要な出来事を時系列でまとめました。
事件発生から補償まで
1月26日11時58分 | コインチェックがNEMの入金制限を行う |
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1月26日12時38分 | NEMの入金・売買・出金一時停止 |
1月26日16時37分 | 日本円含む全通貨の出金停止 |
1月26日18時54分 | クレジットカード、ペイジー入金、コンビニ入金が停止 |
1月26日20時27分 | 流出発覚(NEM財団のLon Wong氏が、コインチェックがハッキングされたことを示すツイート) |
1月26日23時30分 | CEOの和田氏・COOの大塚氏が記者会見 |
1月28日 | NEM保有者にNEM保有分を日本円で返金すると発表 |
1月29日 | 金融庁がコインチェックに行政処分 |
2月2日 | 金融庁がコインチェックを立ち入り検査 |
2月13日 | 金融相が業務改善命令の報告書を提出。日本円の出金が再開 |
3月8日 | 金融庁による2回目の行政処分 |
3月12日 | NEM保有者に対して日本円で補償実施 |
補償終了後から再開まで
2018年 | |
4月3日 | マネックスグループが買収を発表。Coincheck社が100%子会社化されるとともに、旧経営陣が退任し、マネックスグループの勝谷氏が新CEOに就任 |
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5月18日 | コインチェックが匿名通貨であるZcash(ZEC)、DASH(DASH)、Monero(XMR)、Augur(REP)の上場(取扱い)を廃止 |
6月7日 | NEMをはじめとする取り扱い通貨13種全ての取り扱いを再開(ただしこの時点では、仮想通貨の購入や出金は不可) |
6月29日 | コインチェック公式ブログの再開を発表 |
8月11日 | 金融庁が立ち入り検査の結果を公表し、交換登録業者の審査を厳格化する方針と新規顧客受付停止していた取引所の登録再開が示される |
9月20日 | 国内取引所であるZaif(ザイフ)で67億円相当の仮想通貨流出が発覚 |
10月23日 | コインチェックが仮想通貨取引所の利用規約改定を発表 |
10月29日 | マネックス証券(Coincheck社買収)の株価が高騰し、コインチェック最下位の噂が流れる |
10月30日 | コインチェックが新規口座開設、BTC、ETC、LTC、BCHの入金、ETC、LTC、BCHの取引を再開 |
2019年 | |
1月11日 | コインチェックが金融庁に認可され、資金決済に基づく仮想通貨交換業者として登録を完了 |
2月13日 | コインチェックが「Coincheckでんき」(電気代をビットコインで支払うことで還元を受けられるなどのサービス)を再開 |
Coincheck(コインチェック)の現在の状況まとめ
既にコインチェックのネム流出事件発生から、その後の経過について時系列順にまとめてきましたが、改めて現在のコインチェックに関する状況をまとめてみましょう。
現在はマネックス社の子会社として運営
巨額の流出事件を起こしてしまったコインチェックですが、事件後、大手証券会社であるマネックスの完全子会社となり、現在まで立て直しに力を入れてきました。
流出したネムに関する補償金の対応は2018年4月6日に全て終了しており、取引所としてのサービスもその多くが再開され、現在では取引所としての本来の姿を取り戻しつつある状況です。
【コインチェックがマネックス傘下へ 両社社長の会見】
新規口座開設はすでに再開
流出事件から長らく停止されていた新規口座開設ですが、2018年10月30日に再開されました。
新規口座開設、一部仮想通貨の入金・購入再開のお知らせhttps://t.co/eRiNoREQyt
— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) October 30, 2018
- 新規口座開設
- 一部仮想通貨の入金(BTC、ETC、LTC、BCH)
- 一部仮想通貨の購入(ETC、LTC、BCH(BTCの売買は当初より停止を行なっていない))
現在も停止中のサービス
新規口座開設や仮想通貨の入金・購入などのサービスは再開されたものの、現在でもコインチェックでは一部サービスが停止中の状態となっています。
- レバレッジ新規建取引
- アフィリエイト
- Coincheck Payment(ビットコイン決済を導入できるサービス)
ただし、これら現在停止中のサービスについても安全性の確認が取れ準備が整い次第再開するとのことですので、今後どこかのタイミングで復活するかもしれません。
現在の取扱い通貨
流出事件の影響もあり、匿名通貨であるZcash(ZEC)、DASH(DASH)、Monero(XMR)、Augur(REP)の取扱いは廃止されましたが、現在でも以下10種類の仮想通貨をコインチェックでは取り扱っています。
- ビットコイン(BTC)
- リップル(XRP)
- イーサリアム(ETH)
- ビットコインキャッシュ(BCH)
- ライトコイン(LTC)
- ネム(XEM)
- イーサリアムクラシック(ETC)
- リスク(LSK)
- ファクトム(FCT)
- モナコイン(MONA)
仮想通貨を代表するビットコインだけでなく、人気の高いアルトコインも豊富にそろえている点はコインチェックの強みと言えるでしょう。
現在のセキュリティやハッキング対策について
様々なサービスが再開されたとはいえ、やはり巨額の流出を過去に起こしているだけに気になるのは現在のセキュリティ面です。
ですがコインチェックは流出事件後、セキュリティや盗難補償にかなりの力を入れており、信頼度は依然と比較にならないほどアップしました。
- 二段階認証・・・通常のメールアドレスとパスワードとは別に、異なるパスワードを利用して認証を行うシステム。万が一ログインパスワードが第三者の手に渡っても、不正ログインを防ぐことが出来る
- コールドウォレット・・・ネットワークにつながっていないオフラインで顧客の資産を管理し、ネット上からのハッキングや不正アクセスを防ぐ
- システム監査・・・国内外の複数の情報セキュリティ企業等を通して、情報システムの信頼性、安全性、効率性が保たれていることを確認する
更に万一の事態に備えた盗難補償も用意されています。
- 二段階認証しているユーザーに限り、万一仮想通貨不正アクセスにより盗難に遭ってしまった場合、100万円までの補償が実施
以上のように、例の流出事件から学び、セキュリティ面や補償面に対してコインチェックは相当な力を入れているのが分かります。
Coincheck(コインチェック)再開後の口コミや評判は?
コインチェックが様々なサービスを開始して以降、実際の利用者たちがどんな反応を示しているのか?
ここでは口コミや評判を紹介しながら、コインチェックに関する生の声をまとめました。
さあさあ、さあさあ
再開再開、
コインチェックでXRP購入、売却できるようになりました。
うれしいなあ、、うんうん
使い勝手いいからね、コインチェック
ガンガン行きましょう
XRP目指せ年末1000円!
— ジージ@XRP推し(ボケはじめ) (@bitbit_ojin) November 26, 2018
https://twitter.com/Beginnersripple/status/1066972925448712192
コインチェック再開したところでもう誰もメインとして使わないと思うよ
— ステファニー (@crypto_sakky) October 30, 2018
コインチェック待ってたよー
長かったー
日本盛り上がっていこー
(´༎ຶོρ༎ຶོ`)— eTmレイ (@OHKOYK) January 11, 2019
https://twitter.com/ArbitrageTigers/status/1134327526635986945
レバレッジ再開して〜
— BBBBBBit (@BBBBBBit3) June 5, 2019
コインチェック再開を待ち望む声が多く見受けられたものの、やはり批判的・懐疑的な声もゼロではないようです。
巨額の流出事件を起こした以上、信頼回復にある程度の時間を要するのは致し方ないと言えるでしょう。
また、現在停止中となっているレバレッジ取引再開を望む口コミが多く見られ、レバレッジ取引がいつ再開するかでコインチェックの利用者や流通量は大きく変わるかもしれません。
Coincheck(コインチェック)の今後の動向について
コインチェックの今後の動向について、ポイントなる点を改めてまとめました。
- 信頼回復がどれだけ進むか・・・マネックスの傘下に入りセキュリティに力を入れているものの、流出事件で失った信頼は未だ完全に取り戻せてはいません。利用者に安全性、信頼性がどれだけ浸透するかがコインチェック復活のカギとなるはずです。
- Coincheck Paymentの再開・・・ビットコイン普及のカギを握るビットコイン決済システムの提供をCoincheck社は行ってきましたが、このCoincheck Paymentがいつ再開されるのかは注目ポイントです。
- アフィリエイトについて・・・コインチェックユーザーが多かった理由の一つとして高額なアフィリエイト報酬が挙げられますが、現在はアフィリエイトが停止されています。信頼回復に努めている現状の中では、アフィリエイトは再開せず地道な運営を続ける状態がしばらく継続される可能性が高いでしょう。
Coincheck(コインチェック)の現在まとめ
巨額の流出事件により、良くも悪くも有名になったコインチェック。
事件発生から現在、そして今後の動向について今回はまとめてきましたが、最後に特に重要なポイントを改めて整理しておきましょう。
- ネム流出による被害の補填はすでに完了済み
- 流出事件後coincheck社は大手証券会社「マネックス」の傘下に入った
- 流出事件後、コインチェックはセキュリティや盗難対策に力を入れている
- コインチェックは現在、金融庁に認可された資金決済に基づく仮想通貨交換業者である
- 複数の仮想通貨の入金や購入はすでに再開済み
- 信頼回復及び、停止中のサービス再開がコインチェック復活のカギを握る
コインチェックは以前から、使い勝手が良く初心者に人気で、かつ豊富な仮想通貨を取り扱っているのが特徴です。
今回ご紹介した内容も参考に、コインチェックを使ってみてはいかがでしょうか?